あなたが住宅ローンを延滞しかけたということは、この先、もっと厳しくなり、家を手放さなければいけないリスクがゼロではないということです。それなら、万一の備えのために、いちど無料相談で家の査定を受けるのは大切なことです。無料ですから、損することは何もありません。追い込まれたときに混乱してどんどん不利になることのないように、一番信頼できる不動産会社を見つけて、「避難ルート」を確保しておきましょう。

不動産査定は、健康診断のようなもので、たとえ引っ越す予定がなくても、ときどき受けることをおすすめします。それによってどこが評価され、どこが評価されないのか見当がつき、この先どこを修繕すればよいかなど、資産維持に役立ちます。

そもそも、ご自分の意思と無関係に自宅が競売に出されるリスクが、ご想像以上にすぐ近くにあるのです。いま家族のためにしなければいけないことは、もはや耐えることではなく、「避難ルート」を確保しておくことです。実際に不動産会社の担当者らと会えば、経験が豊富な方々ですので、目の前が一気に開けることでしょう。このチャンスを逃してはいけません。

ひとつの方法として、「家の健康診断」として不動産会社に訪問査定に来てもらい、査定のついでに、家のリフォームも含めてアドバイスを受けるというかたちはいかがでしょうか。実際、筆者は、家に来てくれた担当者から、狭い子供部屋を広くするリフォーム術も教わり、参考になりました。

はい。当然ながら、断ることは電話一本、メール一本で簡単にできます。不動産会社側は慣れていますので、まったく問題はありません。

あなたとコンタクトをとるために電話がかかってくることはありますが、もし電話ではなく、メールでやりとりするほうがよければ、申し込み時に「ご要望・ご質問」欄があるので、そこに明記しておけば大丈夫です。あなたの希望はどんどん伝えていきましょう。

よくある不動産仲介では、数百万円のリフォームを行うこともありますが、買取の場合は、リフォームする必要はまったくありません。買い取ってくれる会社は、買取後に自分たちでリフォームします。あなたがリフォーム代を払う必要は一切ありません。

訪問査定時には、簡単な掃除をしておくだけで大丈夫です。不動産会社からは１～２人の担当者が来て、まずパンフレットなどを手にして説明をしてくれます。その後、あなたが認めてくれる範囲で天井の高さ、壁の強度などを確認し、浴室やトイレ、キッチン、窓、ベランダの状況などを写真撮影します。全部で１時間弱ほどです。

とても良い機会ですから、訪問査定時には、あなたが不安なこと、知りたいことをどんどん聞いてみましょう。相手は住宅ローンの残債処理なども普段から手がけているプロですので、これからのヒントがたくさん得られることでしょう。

あなただけでなく、あなたのご家族も「家を出る」ことには大きな抵抗があることでしょう。ひとつの解決策としては、売却後にそのまま賃貸で住み続ける「リースバック」をとることで、まずは現在の危機を乗り切ることです。そのうえで、「住みながら考える」のはいかがでしょうか。心を落ち着けて、ゆっくり時間をかけて「このままリースバックで住み続けるか、別の住まいに引っ越すか」話していってみてはどうでしょうか。

筆者は分譲マンションを売却した後、もはや家を購入するのではなく、東京都住宅供給公社（JKK）の賃貸住宅に引っ越しました。これは大正解でした。住宅供給公社やUR（都市再生機構）であれば、更新料なしでずっと住み続けられます。新しい物件なら25年定期借家で住み続けられます。住み慣れた自分の築古マンションではこの先、大規模修繕もままならず、スラム化していくリスクがあります。けれども賃貸なら、最新の床暖房や二重サッシ窓などの環境を享受できます。この先、南海トラフ地震や首都直下型地震などの大災害があっても、賃貸なら引っ越せばいいだけですから、これからの住まい方として非常におすすめです。この機会を活かしてみませんか。

不動産会社の査定がどれも期待するほどの金額にならず、家を売ってもローン残債を完済できないことがあります。万一、そうなったら、ぜひ、訪問してくれた不動産会社の担当者に相談してみてください。彼らは百戦錬磨のプロです。どうすればいいか、いろいろなアドバイスをくれます。このアドバイスが重要なので、だからこそ、手遅れになる前に、ともかくも無料相談を受けてみることが必要なのです。

ネット情報では、ローン残債を完済できないときには「任意売却」がおすすめという話がとても多いです。「任意売却」とは、債権者である金融機関が認めてくれたときに、ともかく家を売ってローン残債を減らし、その上で支払えるペースで返していく手法です。「任意売却」がおすすめであることは事実なのですが、間違った不動産会社にまかせると不幸なことになりかねません。ですので、まずはローン残債を完済できるかを確かめて、完済できないならどうすればいいか、訪問してくれた担当者に相談してみましょう。